Puu-Vallila

ヘルシンキの木造建築地域ヴァッリラ

Apr 1, 2017

ヘルシンキは数カ所ですが1900年代初頭に開発された住宅街がまだ残っている地域があります。「残っている」というより、「残している」と言ったほうがいいでしょう。これらの地域は過去に何度も再開発の危機に直面しましたが幸い取り壊しを逃れて今に至っています。

その一つ、ヴァッリラはヘルシンキの中心地に最も近く、トラムでも行かれる地域です。

このヴァッリラは当時、近くにあるフィンランドの陶器ブランド・アラビア(Arabia)の工場で働く従業員のための住居が建設されたのたのが始まりでした。大きく分けて今残る建築物の約半分はヘルシンキ市の市営住宅、半分は個人所有となっています。

趣のある環境は、デザイナーやアーティスト、作家、詩人、音楽家、といった人々に人気があり、彼らのスタジオや住居が多くあります。しかし、一般的にもこの地域は人気が高く、地域全体の家賃や価格が上がりつつあり、多くの場合経済的に苦しい暮らしをするアーティスト系の人々には手の届かない状況にもなっています。

家の細かい部分がとても丁寧に作られていて、見入ってしまいます。

中庭を覗くと、まるでこの中だけ時間が止まっているような気がします。100年前で。

ヴァッリラの《過去の》中心地にあるパブ、ピック・ヴァッリラ。《小さなヴァッリラ》という意味です。気さくなオーナーに地域の話を色々聞かせてもらいました。:)
この周辺が以前ヴァッリラの中心地で、ここはもともと靴屋だったのだそうです。この丁字路には他に牛乳屋、肉屋など、住民が日々必要とする品を販売する店が集っていたのだそう。

地元のアーティスト達の作品展示をしています。写真にはアイヤ・ヨハンソンさんのバティック作品が展示されています。彼女のスタジオもヴァッリラにあります。

ヴァッリラの端っこの方にある温かい雰囲気のカフェ、ヘルシンギン・カハヴィパーフティモ。とても小さい店内ですが、丁寧に一杯のコーヒーを入れてくれます。近くのオフィスから飛び出しパソコンを叩きながら打ち合わせする二人組、散歩の途中で立ち寄ったカップル、といった、とても気楽に立ち寄った、という感じの、普段着の気楽なカフェです。

ヘルシンキでありながら、ここは時間の流れ方が違う、とはっきり感じます。100年前のヘルシンキの何かを感じることのできる場所だと思います。