糸によって視覚化された心象風景展

ヘルシンキから約35kmにあるケラヴァ(Kerava)のアートミュージアム・シンッカ(Sinkka)で2016年11月26日から2017年3月19日まで開かれたテキスタイル展です。
事の始まりは、ニューヨークを拠点に活躍するポーランド人ニットアーティストOlekが去年の8月、難民、移民、地元民を集め、皆で共同し家がすっぽりと収まる手編みの大きなピンク色のレースカバーを作りました。これはOur Pink Houseと呼ばれ、平和と希望、そしてより良い未来へのシンボルとなりました。
この出来事は世界中に広がるムーブメントとなり各地で同様なアイデアでピンクのレースの「お家カバー」が作られました。
フィンランドでも作られたんですよ。南フィンランドのケラヴァ(Kerava)駅に近い、大工のSvenskさんの古い家で今はギャラリー・アッリ(Galleria Alli)となってる建物に、ピンクの手編みのカバーが作られました。この家はミニチュアではないですよ、本物の家。
その流れをくむ形で一同に集められた作品展がこのNäkyväksi neulottu/Yarn Visions(日本語にするのは難しいですが、「糸によって視覚化された心象風景」という感じでしょうか)
この展示会は糸が大好きな私にはたまらないものでした。この車はスミからスミまで編み物です。
すごい!と思うと同時に、私もこんな大きなものを編んでみたい!というようなワクワク感、言い変えれば大きなエネルギー的な力が体の内側から出て来るのを感じました。
このトイレも丸ごと編み物です。壁のタイルもトイレットペーパーも、もちろん便器も。
この作品は、(なぜ、アートのテーマを世界の果てから見つけて来なければならないのか?この一番身近にある日常がもっとも興味深い。)というメッセージを含まれています。まさしく!
刺繍のモンシロチョウと白樺の木の表面が美しくマッチ。素材感のコントラストも心地よい。
細での糸で細かく編んだ鍵針編みの花畑。
紙と糸のコンビネーションがいい。加えてユーモアが最高にいい。
色々なメッセージを含んでいる作品ではありますが、何より楽しみました。